本教材の学習内容について、
(1)自分も過ちを犯すことがあるという自覚をさせる。
(2)言葉の裏側にある背景や思いを理解しようとすることの大切さに気づかせる。
上記の二点がポイントになると先日お伝えしました。要するに、この二点について対話を促す発問や授業展開を考える必要があるということです。
「自覚」という言葉を上記で使っていますが、髙宮(2020)は「道徳的価値の自覚」について、『すでに感情的には大切さを実感できていることであっても、その大切さを改めて知的に理解すること』が重要であるとしています。その理解を通して『児童生徒がみずから自分の内面のなかに内なる規律をつくり、それに基づいて行為すること』を期待するのです。
また、「自分も過ちを犯すことがあるという自覚をさせる」という学習内容は、道徳科授業における「人間理解」になります。児童生徒に教材のなかの「悪人」を探させるのではなく、自分の「弱さ」を自覚することで他者を安易に裁いたり批判させたりすることを防ぐと髙宮(2020)は述べています。なお、このような「人間理解」は、将来的にSNS上での誹謗中傷を防ぐ効果もあるといえるでしょう。日々の道徳科授業で、その素地を育てていくということが大事になるのです。
ただし、「自分も過ちを犯してしまうという自覚」という「人間の弱さ」を理解するだけでは、実際の道徳的行為にはつながりません。そこで大事になるのか、2つの視点をもとにした問いづくりです。
【阻害条件】(例)「どうしてなかなか相手を受け入れることができないのか」
【促進条件】(例)「どうしたら広い心をもてるのか」
このような条件を問うことで、道徳的価値の実現に何が必要なのかを理解させるのです。
《参考引用文献》
髙宮正貴『価値観を広げる道徳授業づくり 教材の価値分析で発問力を高める』(2020,北大路書房)
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