皆さんは水俣病をご存知でしょうか。社会科で学んでいるのでもちろんご存知でしょう。では、問い方を変えます、皆さんは水俣病についてどれぐらい知っていますか。今、苦しんでおられる方々のことを、どれぐらい具体的に想像できますか。
水俣病について、ぜひ紹介したい書籍があります。永野三智氏の著書『みな、やっとの思いで坂をのぼる 水俣病患者のいま』です。水俣病で苦しんでおられる方々の相談を永野氏が丁寧に聞き取り、その事実と永野氏の思いを綴ったものです。
この本を手に取ると、水俣病と過去と現在を知ることができます。何も知らなかった自分に気づくことができます。教師として自分がやるべきことを考えさせられる一冊です。
道徳科授業の中で、私は水俣病について考えさせたいと常々思っていました。よりよく生きようとされている患者の方々、それを支えている支援者の方々、その人たちの気持ちを子供たちと考えたいのです。
しかし、一時間の道徳科授業では現実に迫ることはできません。そこで、人権教育として他教科・領域とつなぎ、その事実や現状をしっかりと学ばせる必要があります。道徳科授業では「公正、公平、社会正義」として、人権教育としては「知識的側面」が中心となるでしょうか。
そして、「水俣病」という人権課題を通して、他の人権課題にも目を向けさせることも重要になります。なぜなら、社会の不合理(差別や偏見)の構図には共通点があるからです。一つの課題を他の課題に広げていく。その際に教科・領域の枠を超えた学びを進めていく。人権教育は、まさにカリキュラム・マネジメントにより成立する学びなのです。
永野三智『みな、やっとの思いで坂をのぼる 水俣病患者のいま』(2018,ころから株式会社)
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