2022/02/14

手品師が失いたくなかったものは?


 教材「手品師」について話し合う機会がありました。その話し合いの場で、「手品師が失いたくなかったものは何か?」という発問が提案されました。この発問に対して、皆さんならどのように答えますか。

 大劇場に行くか、少年のところに行くか。その葛藤場面での手品師の決断には賛否両論あります。教材の中の手品師は、少年のところに行くことを選びました。長年の夢だった大劇場での出演を断り、少年のところに行こうと決めた手品師は、大劇場に行くことで自分が何かを失ってしまうことを恐れたのかもしれません。その「何か」を、子供たちに考えさせたいところです。


 また、その話し合いでは、「すぐに決められなかったのは、なぜ?」という発問もありました。迷っていること自体、その行為こそ「誠実」ということではないかという理解から生まれた発問です。


 さて、特におもしろかったのは、少年のところに行った場面で役割演技を取り入れるという展開提案です。「おじさん、どうしたの?元気がないの?」と、少年から言われたら、手品師はどのように答えるのでしょうか。少年に事実を伝えると、少年は悲しむかもしれません。「どうして!?大劇場に行った方がいいよ!」と、少年から言われたら、どう答えますか。即興的に生まれる手品師の言葉の中に、実はこの教材での「誠実さ」が見つけられるのではないでしょうか。

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