2022/02/13

モラルスキルトレーニング(3)



 実際に「モラルスキルトレーニング」を道徳科授業に取り入れるとすると、どのような展開が考えられるでしょうか。ここでは、「縣方式」と呼ばれているモラルスキルトレーニングの展開を紹介します。


【モラルスキルトレーニングの流れ(縣邦彦氏考案)】

1

資料の提示(導入)

道徳資料を提示する。

2

ペア・インタビュー

(内容把握)

資料の登場人物になってペアでインタビューをします。

ロールプレイのウォーミングアップも兼ねています。

3

ロールプレイ①

(演技)

教材のある場面を演じさせます。シナリオ通りではなく、即興的な演技とします。

4

シェアリング

(対話)

ロールプレイ①の感想を言い合い、良い行動方法を強化し、悪い部分を修正させます。

5

メンタル・リハーサル

(自己を見つめる)

別な場面をイメージさせ、その場で自分の行動を考えさせます。

6

ロールプレイ②

(演技)

⑤でイメージしたものを再度演じさせます。③④で考えたものを一般化させることをねらいます。

7

シェアリング

(対話)

ロールプレイ②の感想を言い合い、良い行動方法を強化し、悪い部分を修正させます。

8

課題の提示(終末)

教師が説話をしたり、身につけたことを日常場面でできるように課題を出したりします。

(林泰成『モラルスキルトレーニング』をもとに、筆者作成)

 

 なお、「シェアリング」に関して、林泰成氏が著書の中で、『たとえば、演じている子どもは、「悲しい」という感想を述べていないのに、見ていた子どもが「悲しそうであった」と言うようなことがあります。(中略)その言葉によって、演者が「そういえば、悲しい気持ちだったように思う」と、心の奥底の自分の気持ちに気づくようなこともあります。』と述べているように、演技を通して対話を促し、その対話から「気づいていない自己」に気づかせることを、道徳科授業では追い求めたいところです。


《引用参考文献》

林泰成『モラルスキルトレーニング』(2013,明治図書)

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