道徳科授業のスタイルを4つに分類してみると、下記のように分類できます。今回は「物語り(ナラティブ)スタイル」について考えてみます。
自分の言葉で過去を語ること、これを「物語る」と呼びます。心理学では「ナラティブする」という行為になります。心理学者の森岡正芳氏が著書『ナラティブと心理療法」の中で、「人は自分で自分を作り直せる。それは、物語るという行為を通して叶えられる」と述べているように、自分を物語ることで、過去と現在をつなぐことができるようになるのです。言い換えると、過去の「出来事」は変えられなくても、「出来事の意味」は変えられるということになります。
これは、小学校6年生「その思いを受け継いで」の授業をした際の児童の感想(ふり返り)です。
この児童は、過去の出来事を「物語る」ことで、自らがかぶせていた「心の蓋」を外すことができました。そして、今の自分が、過去の悲しい出来事に「命のつながりの温かさ」という価値をもたらすことができたのではないかと考えられます。この瞬間、この児童の心は未来へ向いたはずです。
この授業スタイルのイメージは、自然教室最終日のキャンプファイヤーです。みんなで友情の炎を眺めながら、涙を流す。これと同じように、みんなで同じ教材を囲み、ともに考え合い、過去を物語り、受け入れられ、涙を流す。このような授業が年に一回でも叶えられると、子供たちの道徳科授業に対する印象が大きく変わるのではないかと思っています。
〈参考〉『ナラティブと心理療法』森岡正芳 2008 金剛出版