道徳科授業のスタイルを4つに分類してみると、下記のように分類できます。今回は、「心情理解(共感)スタイル」について考えてみます。
この「心情理解(共感)」スタイルの道徳科授業は、いわゆる従来型の授業と捉えることができます。中心人物の心情の変容を「場面(基本)発問」→「中心発問」→「補助発問」という流れで考えていきます。多くの研究授業の場でも、問い方や対話の在り方は様々ではありますが、この授業スタイルを多く見かけるのではないでしょうか。
しかし、このスタイルを道徳科授業の正解と認識してしまうと、授業の幅を狭めてしまうのではないかと危惧します。どうしても毎回の授業の流れが同じように感じられてしまうためにパターン化してしまい、9年間授業を受け続ける子供たちにとっては退屈なものになってしまう恐れがあると考えます。そうならないためには、やはり「深く考えたい」と思えるような発問が必要となるでしょう。
さて、本スタイルでは「中心人物になりきって考える」という学習活動を大事にしますが、この「なりきって考える」という行為そのものにも大きな意義があることを付け加えておきます。「なりきって考える」という行為を重ねることが「役割取得能力」の向上につながるといえるからです。「役割取得能力」とは、他者の立場に立ってその人の考えや感情を推測し、自分の対人行動に生かす力(社会的視点取得能力)のことです。心理学者のミードやセルマンらによって研究され、他者理解や共感性を深めるために非常に重要な能力とされています。この役割取得能力が向上すると、子供たちの他害の割合が現象するともいわれています。
道徳科の授業において「人物になりきって考える」という、一般的ともいえるこの学習活動こそが、実はとても重要な学びであるといえるでしょう。