2021/11/27

価値観を広げる道徳授業づくり(3)


 髙宮正貴氏の著書『価値観を広げる道徳授業づくり 教材の価値分析で発問力を高める』をもとに、「多面的・多角的に考える」ことについて述べていきます。

 新学習指導要領が施行された際に大きな話題となった「多面的・多角的」という言葉。もともとは社会科で使用されていた言葉のようですが、特別の教科 道徳においても重要なキーワードとして位置づけられています。

 当初は「多面的とは?」「多角的とは?」「なぜ『・』がついているのか」など様々な議論がなされましたが、現状は「あまり言葉にこだわらず、多様な考え方をさせるたらいい」という認識が一般的に広まっているように感じています。

 本書では、その「多面的・多角的に考える」を明確に説明しています。

(以下、著書より抜粋。表は筆者作成)

多面的に考える

道徳的価値そのものがもつ意味の様々な側面を考える。

多角的に考える

ある道徳的価値や道徳的問題を考える条件や観点の多様性を考える

(以上)

 「多面的に考える」とは、道徳的価値の持っている様々な側面を考えることです。髙宮氏は「意味の複数性を考える」と定義しています。例えば、友情であれば、「対等性」や「互恵性」、「切磋琢磨」など、その道徳的価値のもつ「意味の複数性」を考えさせることが「多面的に考える」ということになると述べています。例えば、複数の意味を対立させることで、その価値の意味を学ばせることができるでしょう。

 「多角的に考える」については、考える際の条件や視点を変える(加える)ことになります。観点の多様性を大事にすることになります。例えば「友情」であれば「ずっと連絡がなくても友情は続くだろうか?」「嘘をつかれても友情は続くだろうか?」など、多様な条件を加えながら道徳的価値についての理解を深める学習が「多角的に考える」ことだと髙宮氏は述べています。


髙宮正貴『価値観を広げる道徳授業づくり 教材の価値分析で発問力を高める』(北大路書房,2020)


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