本教材では、りすを背中に乗せたかめたちの気持ちを考えさせる学習活動をよく見かけます。ただし、「みんなうれしかった」と発言させて授業を終えただけでは道徳性が高まったとは言えないかもしれません。
そこで、本教材の学習内容である「みんなうれしかった」ということについての対話をさらに促すための手立てが必要になります。
手立て(1)役割演技
考えられる手立てとして「役割演技」の活用があります。低学年の児童ですから、この場面になるまでに登場人物になりきって心情を想像している子も多いでしょう。ここでは「かめ」と「りす」の2名の演者を選定しますが、「りす」を授業者が演じることでゆさぶり発問を与えることもできます。
【役割演技例】
かめ役「りすさん、ぼくの背中に乗りなさいよ。」
りす役「ありがとう。すごく嬉しいよ。でも、なぜ今日は誘ってくれたの?昨日はダメだって言っていたのに」
この演技では「みんなで遊んだ方が楽しい」という心情を深く理解させることをねらいます。「でも、僕は泳げないから、みんなだけで行った方が早く遊びにいけるよ」や「なぜみんなもうれしそうな顔をしているの?」と問い返すこともできます。
これらの役割演技は「発言させること」を目的とはしません。もし演者が発言できなければ、観客役の児童に「(演者は)なんて言いたかったと思う?」と尋ねてあげたらいいのです。大切なことは、役割演技を通して学級全体で価値のよさを考え(感じ)させることです。
手立て(2)場面を変える発問
『次の日、4人がお猿さんに木登りを誘われたら、りすさんはどうしたらいいかな』
この発問は、本教材での学びを活用させることをねらいます。木登りに誘われたら、りすは木に登れますがかめやあひるは登れません。背中に乗せることも難しいです。では、どうしたらいいのか。様々な方法を考えようとするでしょう。そこにどのような心があるのか。大事なことは、その心に着目させてあげることです。
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