2021/11/13

授業観を変える


 対話そのものを目的とする。その場合、発問の役割は「多面的・多角的に考える」という思考方法を子供たちに身に付けさせることであると述べました。このことについてもう少し考えてみましょう。

 道徳科授業の大きな課題として、私は「小学校1年生から中学校3年生まで授業スタイルがほぼ変わらない」というものがあると考えています。そして、その授業スタイルは「教師の発問に対して子供が答える」という「教師→子供」というスタイルです。文脈に沿った答えを求められる場合が多いことも問題として挙げられます。

 逆から考えると、教師が発問を出さないと授業が進まないという現象が発生します。「主体的な学び」の真逆の状態を、実は我々教師が生み出していると自覚しなければなりません。

 道徳科授業を通して「社会や身の回りにある道徳的な問題に気づく力」を育てることが必要だと言えます。誰が、何で困っているのか。その原因はどこにあり、どのようなドミナント・ストーリー(暗黙の前提)があるのか。教材と出会った際に、それらを自ら考えようとする子供たちを育てていきたいものです。

 また、教材の問題を現実的な問題として捉え、自分ごととして解決するために必要な見方・考え方を身に付けさせる。それは、授業の中で様々な思考活動、いわゆる「多面的・多角的に考える」という経験を積み重ねていくことで育てられるものです。毎時間決まった展開ばかりの授業では決して育つものではありません。

 今、道徳科授業にはこのような視点が強く求められています。これまでの道徳科授業の在り方を見直し、新たな授業観を構築していきたいものです。

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