2021/11/14

6年生「手品師」(1)


 先日、大変魅力的な研究会に参加をすることができました。全国の学生の方から経験豊富な先生方までが参集&オンラインで学び合う会です。参加者の対話を重視し、会場でのベアトークやブレイクアウトルームで何度も意見交流をすることで、アウトプットする機会もたくさん確保されていました。日々の授業においても大変参考になる運営方法であると感じました。

 さて、この日のテーマは「手品師」の教材分析。小学校道徳の高学年定番教材として長年に渡って研究をされてきたこの教材を、改めて分析していきました。2時間半をかけて、多くの先生方の視点を取り入れながら考えていくことは、大変学び深いものがありました。

 「手品師」と言えば、「誠実」というキーワードの捉え方でよく議論されてきました。「手品師は本当に「誠実」なのだろう」ということです。先達の議論については様々な文献がありますので、ご興味のある方はそちらをご覧ください。また機会がありましたら改めて紹介をしたいと思います。

 さて、「誠実」という言葉は、本来どのような意味をもつのか。まずはこの言葉の概念を授業者が整理をする必要があるでしょう。本研究会でも「誠実って、何?」という質問から始まりました。

 もし、「誠実とは約束を守ることである」という認識であるとすれば、この教材での学習活動は「約束を守るか守らないか」ということにこだわる授業となってしまいます。考えさせるべき学習内容は「小さな約束でも守る」ということになります。しかしながら、これでは「誠実」という概念に対しての理解が大変薄いものになってしまうでしょう。

 「誠実」という言葉の捉え方について、学習指導要領解説では、

・自分の気持ちに偽りのないようにする。

・過ちを素直に認める。

・何事に対しても真面目に真心を込める。

・伸び伸びと過ごそうとする心のすがすがしい明るさ。

などの捉え方が記載されています。

 また、本教材の授業づくりに関連した記述を探してみると、

他の人の受け止めを過度に意識することなく、自分自身に誠実に生きようとする気持ちが外にも発揮されるように配慮する。

・自分の意に反して周囲に流されてしまうことや傍観者として過ごしてしまうことは、決して心地よいものではなく、後ろめたさから誇りや自信を失ってしまうことにつながることを考えられるように指導する。

 ということも記載されています。

 まずは、学習指導要領解説の記述から、授業者が本教材で考えさせたい「誠実」という概念について整理・分析することが授業づくりの第一歩となるでしょう。

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