1年生教材「はしの上のおおかみ」について考えていきます。定番教材の一つとして、研究授業でもよく見かけます。人物の変容も分かりやすい教材です。1年生の発達段階を考慮して、場面のはじめから中心人物(おおかみ)の心情を理解していく。そのような基本的授業構成になることが多いのではないでしょうか。
今回は、その授業構成に少しの工夫を加えてみてはどうかという提案になります。料理で例えると、いつもと違う調理法(教材分析)や味付け(発問や活動の工夫)をしてみようということです。
(1)「えへん へん」の対比
文中に「えへん、へん」というおおかみのセリフが2箇所出てきます。一つ目は、うさぎに意地悪をした場面。二つ目は、うさぎに親切にした場面です。同じ言葉が使われていますが、その言葉に込められたおおかみの思いは異なります。
道徳科の授業で「〜はどんな気持ちですか?」という発問をよく見ます。しかし、気持ちをそのまま尋ねても子供たちにとって魅力的な発問にはなりません。そこで、一つの手立てとして「対比させる」という学習活動が有効になります。
この場合、二つの「えへん、へん」を対比させることで、何が違っているのか、そして、なぜ変わったのかを考えさせることができます。そして、「対比させる」と学習活動に「動作化」も加えてはどうでしょうか。
うさぎに意地悪をした場面の「えへん、へん」を動作化させてみます。一人の子に動作化をさせて、みんなで観察してもいいでしょう。とても偉そうな表情と強い口調で「えへん、へん」と表現すると想像できます。次に、うさぎに親切にした場面を動作化させます。すると、優しい表情や口調で「えへん、へん」と表現するでしょう。その表情や口調の変化に気づかせることで、おおかみの心情の変容を実感させることをねらいます。「気づく」から「実感する」に変えるのです。
言葉だけの発問では変容に気づきにくい子がいるかもしれません。児童それぞれに動作化をさせた場合でも、自分の表情や声を自分で振り返らせることで、同様の気づきを生むことができます。
このように、動作化を通して「おおかみさんはどんな表情だった?」「おおかみさんの声はこわかった?優しそうだった?」と尋ねてあげることで、より理解を深めることができるでしょう。
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