本日は齋藤環氏の『オープンダイアローグとは何か』(医学書院)から道徳科の授業づくりについて考えていきます。
私は、対話を中心とした「オープンダイアローグ」という精神医療における考え方に大変注目をしています。そのなかでも、特に道徳科授業での「役割演技」の在り方とつなげて考えることで、新たな視点を得ることができるのではないかと感じています。
例えば、役割演技では観客役の児童への「よく観る」「よく聴く」という指導が重要であるとされています。このことは、オープンダイアローグにおける「リフレクティング」の考え方を使って説明することができそうです。
「リフレクティング」では、治療チーム(専門職)がクライアント(相談者)や家族の前で治療方針等を話し合います。専門職たちは、全体での対話の中で相談者たちが話していたことをどう聞いたのか、どう感じたのか、何を思ったのかを話し合います。「リフレクティング(うつしこむ)」をするのです。相談者たちはその話合いの様子を観察することになります。その後、相談者たちは思ったことや感じたことを話します。
役割演技の場面では、演技後にまずは観客役の児童生徒に感想を尋ねることになります。それを、リフレクティングでの「専門職の話合い」と同じ目的と位置付けてみてはどうでしょうか。そうすると、観客役の児童に、言葉だけはなく、その時の表情や声、目線や動作にも注目させることの理由も明確になりそうです。
また、それを受けて「役割演技」では演者の感想も聞き出します。そうであれば、演者の選定については「登場人物の視点に立っている」という第1条件に加えて、「登場人物と同様に葛藤していたり困難を感じたりしている」という第2条件に該当する児童生徒を選定することで、新たな気づきが生まれやすくなるといえるでしょう。
(参考図書)齋藤環『オープンダイアローグとは何か』2015 医学書院
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