2021/10/28

1年生「かずやくんのなみだ」(5)


 ここまで1年生教材「かずやくんのなみだ」について述べてきました。最後に、私の感想や願いをお伝えしていこうと思います。

 この教材の中に、『かずやくんはあしがおそく、すぐにおにになってしまう。だから、だれもさそわないんだ。』(教科書から抜粋)という記載があります。この文章を読むと、私は胸が締め付けられる思いがします。もし、自分の息子が同じように仲間に入れてもらえなかったらと想像すると、とても悲しい気持ちになってしまいます。

 本教材のかずや君は、何も悪いことはしていません。ふつうに学校生活を送っているだけです。運動は少し苦手かもしれませんが、誰かに迷惑をかけているわけでもありません。誕生を祝福され、家族に愛され、健やかな成長を望まれているやさしい子だと想像します。

 そのかずや君が、足が遅いという理由で仲間に入れてもらえない。何も悪いことをしていないのに、まわりから気づかないふりをされる。見えないふりをされて、存在そのものが否定されている。「人権」を尊重しない、なんて悲しい学級なのでしょうか。

 多面的・多角的な思考を重視し、この授業ではかずや君を取り巻く人間関係や心情についても考えさせてあげてほしいと強く願います。

 ほら、かずや君の声が聞こえてきませんか。

ぼくは何もしていないのに、なぜ仲間に入れてもらえないの?足が遅いことは悪いことなの?ぼくが入ると迷惑なの?ただ、ただ、みんなと遊びたいだけなのに。

 この声に込められた願いは4年生教材「ヒキガエルとロバ」や中学校教材「ヨシ卜」など、様々な教材に共通している思いであり、内容項目「公正、公平、社会正義」として義務教育9年間を通して考え続ける大切な学習内容になります。

 本教材「かずやくんのなみだ」が、差別や偏見、いじめや仲間はずれの解消につながる道徳科授業の土台となること、そして今後の道徳科授業を通して「差別やいじめを許さない心」が積み上がっていくことを切に願います

0 件のコメント: