1年生に「二わのことり」という定番教材があります。一人ぼっちの友達(やまがら)のところに、中心人物(みそさざい)が葛藤の末に飛んでいくというお話です。実は、「かずやくんのなみだ」とお話の流れが似ていることにお気づきでしょうか。どちらも、一人ぼっちで悲しんでいる友達のことを思って行動をするというお話です。そして、友達が嬉しくなることを通して自分も嬉しくなるという結果もよく似ています。
しかし、一方の内容項目は「友情,信頼」であり、一方は「公正、公平、社会正義」です。では、授業でねらうべきことはどのように異なるのでしょうか。ここでは、両者の違いを表で整理してみます。
(参考)道徳科「深い学び」のための内容項目ハンドブック(日本文教出版)
このように整理をすると両者の違いがはっきりと見えてきます。指導書の中心発問はよく似ているように感じますが、『二わのことり』(友情、信頼)は「やまがら」と「みそさざい」という二者の関係に焦点を当てています。一方、『かずやくんのなみだ』は、「かずや」と「ぼく」だけではなく「さとし」の様子も描かれています。
このことから、「公正、公平、社会正義」の教材である『かずやくんのなみだ」は、中心人物(ぼく)を取り巻く仲間集団に目を向けさせる必要があると言えるのではないでしょうか。なお、『二わのことり』で、みそさざい(中心人物)がうぐいすや他の小鳥に「ぼくはやまがらさんの家に行くよ」と声をかけていないことも、この「二者の関係に焦点を当てる」ということが関係しているのだと想像できます。
また、『かずやくんの涙』では、ぼくが「かずや君も入れよう!」と声をあげて不合理(仲間はずれ)を解消しようと行動しています。差別や偏見を解消するための行動として、そのよさや難しさを子供たちに共感させたいところです。ただし、1年生の発達段階を考慮すると、その行動の理由を問うても深まらないこと(理解が難しい)が予想されるので、指導書では積極的に取り上げていないようです。
教材の流れや結果だけを見ると、二つの教材は同じようなものに見えるかもしれません。しかし、学習内容や内容項目を考えると、その違いは明確に見えてきます。「道徳科の授業はいつも同じようなことをしている」とならないように、教材分析をしっかりとしていきたいものです。
このことから、「公正、公平、社会正義」の教材である『かずやくんのなみだ」は、中心人物(ぼく)を取り巻く仲間集団に目を向けさせる必要があると言えるのではないでしょうか。なお、『二わのことり』で、みそさざい(中心人物)がうぐいすや他の小鳥に「ぼくはやまがらさんの家に行くよ」と声をかけていないことも、この「二者の関係に焦点を当てる」ということが関係しているのだと想像できます。
また、『かずやくんの涙』では、ぼくが「かずや君も入れよう!」と声をあげて不合理(仲間はずれ)を解消しようと行動しています。差別や偏見を解消するための行動として、そのよさや難しさを子供たちに共感させたいところです。ただし、1年生の発達段階を考慮すると、その行動の理由を問うても深まらないこと(理解が難しい)が予想されるので、指導書では積極的に取り上げていないようです。
教材の流れや結果だけを見ると、二つの教材は同じようなものに見えるかもしれません。しかし、学習内容や内容項目を考えると、その違いは明確に見えてきます。「道徳科の授業はいつも同じようなことをしている」とならないように、教材分析をしっかりとしていきたいものです。
しかし、人権教育という観点でこの教材を扱うことを考えると、「かずや」に対する不当な扱いや、それを解消しようとした「ぼく」の行動、そして考え方を変えた「さとし」の変容は、今後の学習の土台となるものです。1年生には少し難しい内容かもしれませんが、私は授業の中でぜひ取り扱ってほしいと思っています。
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