「リフレクティング」について、道徳科授業と関連させて考えてきました。本日は、体験的な学習の一つである「役割演技」の中でのリフレクティングについて述べていきます。
私は「役割演技」という名称を「役割対話」と変更してはどうかと思っています。「演技」という言葉からは、どうしても「上手に演じる必要がある」「自分の思いと違っていても、その教材に沿った意見を出さないといけない」というイメージが子供たちの中に生まれてしまうからです。
そこで、「役割対話」と名称を変更してみます。登場人物になり対話をする(もちろん、その場面までに「視点の獲得(自我関与)」は必要です。「話す(外的会話)」と「聞く(内的会話)」に集中して、相手の言葉に耳を傾ける。そうすることで、きっと子供自身の本音が出てくるのではないかと予想します。
おそらく、「演技」という言葉が使われている理由は、「言葉」だけではなく表情や身振り、目線、間など、即興的に演じられる全ての要素を「観る」ことが必要であるという意図からだと考えます。しかし、「対話」においても、「言葉」を発する際の表情や態度は重要な要素となります。ですから、ここでは「役割演技」と「役割対話」という用語を同意と見なすことが可能だと私は考えています。個人的な見解ではありますが、その考え方が広がってほしいと思っています。(以下の文では、指導要領解説に則って「役割演技」としています)
さて、役割演技では、まずは演者が対話をします。観客役の児童生徒は、その対話を見て感じたことを演者に伝えます。そして、その感想を聞いた演者は、対話をした感想を全体に伝えます。この一連の流れは、まさにオープン・ダイアローグでの「リフレクティング」と合致するものです。
そうであれば、演技前の指導についても、オープンダイアローグにおける対話の要素を伝えることが効果的だと考えられます。「聞く」という行為の意義(自己の内なる他者との対話)と、感じたことを相手(演者)に丁寧に伝えるということの大切さです。
また、演者に対しても、演技後の感想では対話の外部(観客役)からの視点を参照(リフレクト)することのよさを伝える必要があるでしょう。
0 件のコメント:
コメントを投稿