【書籍から考える道徳科授業シリーズ】
本日も、野口裕二氏の『ナラティブと共同性 自助グループ・当事者研究・オープンダイアローグ』(青土社,2018)から、道徳科授業について考えていきます。
【リフレクティング】
オープン・ダイアローグでは、専門家同士の対話を患者やその家族が観察し、それを見て感じたことについて再び対話をします。このことについて、野口裕二氏は著書の中で以下のように説明しています。
(以下、抜粋)
アンデルセンらの実践は、その最初の著書からもわかるように「対話」に最大の焦点が置かれている。「対話とその対話についての対話」というやや回りくどい副題の合意はリフレクティング・プロセスの仕組みを知っているひとにはすぐに想像がつく。ワンウェイ・ミラー越しに専門家チームが家族を観察し介入するという従来の家族療法の常識を逆転させて、家族が専門家チームの対話を観察しながら対話をするという斬新な方法がとられたからである。(Andersen1991)
ここでは、①家族の対話、②それを観察する専門家チームの対話、③それを観察する家族の対話、④それを観察する・・・と、「対話とその対話についての対話」が延々と繰り返されていく。ここで重要なのは、対話の内部にとどまって対話を深めるのではなく、対話の外部からの視点を参照(リフレクト)すること、すなわち、自分たちの対話が外からどのように見えるのかという視点を取り入れながら対話を深めていく点である。こうすることで、自分たちが暗黙のうちに前提にしているコンテクストが浮かび上がり、「問題」というテクストとそれを支えるコンテクストの関係が見えてくる。
(以上)
「対話と、その対話についての対話」、一見分かりづらい表現に感じるかもしれませんが、リフレクティングの在り方をとても巧みに表現しているとも感じられます。
さて、上述の「自分たちの対話が外からどのように見えるのかという視点を取り入れながら対話を深めていく」という考え方を、道徳科の授業づくりにどのように取り入れることができるのか、このことを模索していきたいと思います。
(引用参考文献)
野口裕二氏の『ナラティブと共同性 自助グループ・当事者研究・オープンダイアローグ』(青土社,2018)
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