教材研究 小学校1年生「二わのことり」〜発達段階を考慮して〜(2)
【みんなとなかよく】
この教材の主題は「みんなとなかよく」です。「なかよく」という言葉に着目します。この「二わのことり」という教材だからこそ考えられる「なかよく」とは、どのようなものでしょうか。
物語後半。やまがらの家に飛んでいったみそさざい。「遅くなってごめんね」と言うと、やまがらは「よく来てくれましたね」と返します。その目には、涙。この時のやまがらは、きっと心の中でとても喜んでいたことでしょう。そして、その涙を見たみそさざいも、喜びを感じたことでしょう。二人は、これまで以上に仲良くなれました。これからも、きっといろいろな遊びを楽しむことと思います。
相手のことを考え、助けようと行動できる。そして、相手が笑顔になると、自分も笑顔になれる。そのような関係が、この教材での「なかよく」になるのではないでしょうか。
そして、学習者である子ども達が、この二人のことを心から応援し、仲良くなれたことを自分のことのように喜ぶことができたら、きっと「友達のことを考えて行動しよう」という気持ちが芽生えるはずです。これが、道徳科の授業を通して「道徳的心情」を育てるということです。
【役割演技を通して】
しかし、1年生ですから、言葉のやりとりだけでは学びが深まらないかもしれません。そこで、この教材では「役割演技」が有効となります。
演技をする場面は2つ考えられます。まず一つ目が、『みそさざいがやまがらの家に行く場面』です。ここでは、みそさざい役の児童が、どのような速さで行こうとするのかに注目できます。できる限り早く行こうとするのなら、「早くやまがらを安心させたい(助けたい)」という気持ちが込められた行動になります。ゆっくり行こうとするなら、自分の反省する気持ちを整理しながら飛んでいるのかもしれません。不安も感じているかもしれません。その演技の様子を見た後、「なぜ、こんなに早く(ゆっくりと)行こうとしたのかな?」と観客の児童に尋ねると、その理由を考えようとします。また、「遅くなってごめんね。誕生日おめでとう」を力強く言うのか、申し訳なさそうに言うのかで、みそさざい役の児童の気持ちを感じさせることもできます。まさに、「この学級だからこそ」の道徳授業が成立するのです。
二つ目の場面は、『やまがらの涙を見た後』の場面です。つまり、教材のその後を演技させるのです。この二人は、きっとこの後も会話を続けたはずです。そこで、その会話を想像させ、即興で演技をさせるのです。みそさざいは、この後どのようなことを伝えたのでしょうか。その会話の中に、この授業での学び(学習内容)が込められるのです。「あなたなら、どう言いますか?」などと尋ねなくても、この場面までに自我関与がきちんとできていたら、みそさざいの言葉を通して児童自身の願いや学びが出てくるのです(演者選定のポイントや演技を観させ方については後日紹介します)。
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