2年生「るっぺ どうしたの」(1)
【授業づくりの始まりは学習指導要領から】
低学年のA「節度、節制」の学習指導要領の内容は以下の通りです。
「健康や安全に気を付け、物や金銭を大切にし、身の回りを整え、わがままをしないて、規則正しい生活をすること」
ここには5つの内容が含まれていることにお気づきでしょうか。
①健康や安全に気をつける
②物や金銭を大切にする
③身の回りを整える
④わがままをしない
⑤規則正しい生活をする
という内容に分けることができます。では、本教材「るっぺ どうしたの」は、どの内容となるでしょうか。
【3つの場面】
教材「るっぺ どうしたの」では、3つの場面が描かれています。一つ目の場面は、朝寝坊をしている場面、二つ目は、くつの踵を踏んで注意される場面(ランドセルの中身がこぼれる場面)、三つ目は、砂場で友達に砂を投げつけている場面です。
この三つの場面を学習指導要領の内容に沿って整理すると、
(1)朝寝坊する場面・・・規則正しい生活をすること
(2)くつの踵を踏んで注意される場面・・・身の回りを整えること
(3)砂場で友だちに砂を投げつける場面・・・わがままをしないこと
と整理ができそうです。ちなみに、日文の教科書では、内容項目A「節度、節制」の
教材があと2つ掲載されています。それぞれ、『あぶないよ』という教材が「健康や安全に気をつけること」、『どうしてないているの』という教材が『物や金銭を大切にすること』に割り当てることができそうです。
ですから、この3つの教材がセットとなり、内容項目A「節度、節制」を学ぶことになります。年間計画をつくる際にはこの視点も必要なとなりますので、ご注意ください。
【わがまま?】
さて、本教材「るっぺ どうしたの」を読んでみると、違和感が生じてきます。教科書や指導書の主題は「わがままをしないで」とあります。違和感とは、本文中のるっぺの行動を「わがまま」と決めつけてしまってよいのかということです。
例えば、砂場で友だちに砂を投げつけている場面を見てみます。実際にそのような場面に遭遇したことのある先生も多いのではないでしょうか。その場面を見て、砂を投げている児童を「わがままはやめなさい!」と決めつけてよいのでしょうか。その出来事の背景を聞かず、また、その子の困り感を知ろうとしない。そのような関わり(指導)が果たして許されるのでしょうか。
ほら、るっぺの心の声が聞こえてきませんか。「僕はわがままなんかじゃないよ。誰も僕のことをわかってくれないんだ。もう、いいよ」。
もし、この教材のるっぺの行動を「わがままだ」と決めつけて授業を進めた時、学級の子ども達が学ぶことは、「理解しづらい行動をする子はわがままな子なんだ。みんなで注意をしたらいいんだ」ということかもしれません。
どうか、るっぺを悪者(ダメな子)にすることはやめてあげてください。るっぺも、るっぺの家族も悲しみます。るっぺ自身の自己肯定感が育まれず、今後の健やかな成長が阻害されてしまうかもしれません。そのことを意識したうえでこの教材での授業づくりを考えていけたら、きっと新しい授業観が構築されるかもしれませんね。
なお、教材をこのように分析することは、いわゆる「人権教育」の視点からの分析といえます。この視点も、道徳科の授業づくりの際には大切にしたいものです。
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