道徳科の教科書教材を人権教育の授業として扱うことがあります。人権課題そのものを扱っている教材もあれば、そうではないものもあります。どちらにしても、基本的には道徳科のねらいをもとに授業を構成します。
例えば、低学年教材「およげないりすさん」での人権教育の観点を考えてみます。リスは、何も悪いことをしていないのに、ただ遊びたいだけなのに、泳げないということを理由にいっしょに遊ぶことができませんでした。
このリスを、例えば「障害のある人」に置き換えてみてはどうでしょうか。言葉の通じない「外国の人」として捉えてみてはどうでしょうか。まさに、様々な人権課題が抱える現状をそのまま感じることはできないでしょうか。「集団の中の不合理」を感じさせられる教材といえます。
低学年の授業の中で、それらの人権課題に置き換える必要はないでしょう。しかし、教師がその観点をもって授業をすることで、不合理を感じているリスの悲しみを、自らの差別意識を反省したカメたちの変容を、子ども達にしっかりと理解させることができるのではないでしょうか。
低学年の段階から、人権教育で大事になる「様々な人権課題を解消しようとする心」を育てることが求められています。教師のその意識をもつことで、日々の道徳科授業の中でその心を育てていくことができるのです。
(筆者作成)
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