早川(2020)によると、「役割演技」は1958(昭和33)年の学習指導要領で既に登場しているということです。当時は、道徳の時間の指導方法の一つとして、「劇化」という呼称で登場しています。
当時の「小学校・中学校『道徳』実施要綱」では、劇化として3種類の形が示されています。「役割演技」はそのうちの一つとして、「心理劇・社会劇の形で即興的に演技するもの(役割演技)」と示されています。ほかの2つは「脚本に従って演技するもの」「名作を生徒が脚色し、演技するもの」とあるので、即興的に演技する「役割演技」とは形式が異なるものであるとわかります。
なお、この後の学習指導要領の改定以降、劇化は「役割演技」と表記される一方、それまで劇化の形式の一つとして示されていた脚本に従って演技するものは「動作化」と表現されるようになりました。
このように、「役割演技」と「動作化」は、「演じる」という点については同じように捉えられてしまうことがありますが、その目的や方法は異なるものであることを理解しておく必要があるといえます。
《参考引用文献》
上地完治編著『アクティベート教育学⑨道徳教育の理論と実践』(2020,ミネルヴァ書房)
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