小学校1年生の教材「どうしてかな」(C規則の尊重)について考えてみます。この教材では、「教室でボール投げをしている」「廊下を走っている」「掃除の時間に鉄棒で遊んでいる」という3つの場面をもとに「きまりを守ることの大切さ」について考える構成になっています。
しかし、子どもたちは本教材を学習する前から「教室でボール投げをしてはいけない」「廊下を走ってはいけない」ということを知っているのではないでしょうか。そうであれば、この教材を扱う意義はどこにあるのでしょう。
さて、道徳科授業は学校教育の全教育課程で行われる道徳教育の「補充・深化・統合」という役割をもっています。
本教材でいうと、「廊下を走ってはいけない」ということについて「なぜ?」と考えたり、その行為によって生まれる感情(怪我をして悲しい、ケガをさせて心苦しい)を想像させたりすることで、「きまりを守る」ことのよさや大切さを理解させます。このような学習活動が「深化」になります。
また、例えば日本文教出版の1年生の教科書では、他教材「休み時間」(A節度、節制)で廊下を走っている場面が扱われています。また、「120点のそうじ」(C勤労、公共の精神)という教材で、掃除をがんばることのよさについて考えます。本教材「どうしてかな」の学習の際にそれらの教材での学びをつなげることで、複数の内容項目の学習を「統合」することもできます。
教材研究をする際、その教材が「補充」を目的とするのか、「深化」をねらうのか、それとも統合の役割をもつのか、そのような視点も大事にしてはどうでしょうか。
(筆者作成)
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