2022/06/01

役割取得能力(2)


 道徳科授業では、「人物になりきって考える」という学習活動が子供の道徳性の発達の一側面である役割取得能力の育成につながるということを述べました。ここに、小学校高学年や中学校においても「人物になりきって考える」という学習活動に意味があるということができます。

 しかし、いざ人物になって考えようとしても、それを難しく感じる子も当然います。そのような子供への手立ても必要になってくるでしょう。

 一つの手立てとして、「発問の主語を明確にする」というものがあります。また、別の手立てとして子供たちの発言がどの人物の視点で語られているものなのかを教師が見取り、「あなたは◯◯の視点で考えているのですね」と確認してあげるというものがあります。子供たちは自分が誰の視点に立って発言をしているかを認識していないことが多いので、自由に発言を促すと多様な視点の意見が出てくるものです。その際、教師が「あなたは〇〇の視点で考えてるのですね」と確認をしてあげることで、「そうか。僕は〇〇の視点で今は考えているのか」と認識することができます。そうすることで、「もし、〇〇だったらどうかな?」と、視点の変更を促すことも可能になります。

 なお、「発言の見取り・確認」は、役割演技の演者を決める際にも大変重要になります。子供たちの発言の視点や思いの強さを教師が確実に見取り、それをもとに演者を決める。役割演技の演者は、「誰か〇〇さんの役をしたい人?」と決めるのではなく、子供たちの視点や思いをもとに教師が決めるべきなのです。

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