2021/09/15

対話のことば(2)

対話のことば(2)

(1)オープンダイアローグ

 本日も、オープンダイアローグにおける対話の在り方を紹介している『対話のことば オープンダイアローグに学ぶ問題解消のための対話の心得』という書籍を参考に、道徳科授業における対話について考えていきます。


(2) 言葉にする時間

 『相手からすぐに返答がないからといって、言葉を変えて問い直したり、違う話に移ったりすると、相手の思考や発言を遮ってしまいます。(中略)しかし、質問が内省を促す問いかけであればあるほど、相手も考え、言葉で表すための時間が必要となるのです。そこで、相手が自分なりに考え、言葉にするための間を取り、待つようにします。問いかけの後の沈黙の時間は、何も起きていない空白の時間ではありません。それは、過去の体験や気持ちを思い出し、それを表すために言葉を探っている時間なのです。』

(以上、「言葉にする時間」より抜粋)

 道徳科の授業でも、発問の後にすぐ問い直してしまう光景があります。沈黙にあせり、驚き、言葉を変えて問い直してしまうのです。しかし、その沈黙の時間を大切にすることが大事になります。教師にとっての沈黙は、子どもにとっての思考の時間です。沈黙を大切にするからこそ、子ども達は再考し、言葉を選び直して語ることができるのです。

 

(3)語りへの応答

 『語られていることをただ聴いているだけでは、その人ひとりでは言語化できない部分に迫ることはできません。(中略)そこで、語られた話をしっかりと受け止め、それについて感じたことや思ったことを返すことで、さらなる語りへとつなげます。(中略)その結果、本人は自分が語ったことが受け止められ、それに応答があったということで、さらにそのことについて語りやすくなります。普段は取りあえってもらえないような話も受け止めてもらえることで、聴き手への信頼感や安心感が生じます。』

(以上、「言葉にする時間」より抜粋)

 子どもの発言を聞き、すぐに板書する。または、「他に意見はありますか」と、他のの児童生徒の意見を聞こうとする。たくさんの発言は生まれるかもしれませんが、そこに深い学びは発生しません。子どもの発言の一つ一つを「大事な語り」として受け止め、その発言に対しての応答することが大切になります。

 その際、教師が全ての発言に対して応答するということではありません。実際の授業では、時間的にそれは現実的ではありません。では、どうすればよいか。一人の発言をみんなに返す。みんなが受け止め、自分の思いや感じたことを返す。またその発言をみんなで受け取る。このように、一人の発言をみんなで受け止めるのです。「授業を通して学級をつくる」ことに関連する考え方になります。


《参考図書》

『対話のことば オープンダイアローグに学ぶ問題解消のための対話の心得』丸善出版


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