自己を見つめる授業〜ユニット授業の考察〜
(1)自己を見つめる
道徳科の目標では「自己を見つめる」という学習活動が重視されています。このことについて、学習指導要領解説では以下のように記載されています。
(以下、抜粋)
自己を見つめるとは、自分との関わり、つまりこれまでの自分の経験やそのときの感じ方、考え方と照らし合わせながら、更に考えを深めることである。このような学習を通して、児童一人一人は、道徳的価値の理解と同時に自己理解を深めることになる。また、児童自ら道徳性を養う中で、自らを振り返って成長を実感したり、これからの課題や目標を見付けたりすることができるようになる。
(以上)
この解説文から読み取れることを整理してみます。
◯これまでの自分の経験やそのときの感じ方、考え方と照らして考える。
→教材の人物の葛藤や決断を自分ごととして捉えるための手立てが必要だということです。別の言い方をすれば、発問や展開を工夫することが求められています。
◯自らを振り返って成長を実感したり、これからの課題や目標を見付けたりすることができる。
→自分を物語る活動やふり返りを通して、成長を実感したり今後の課題を設定したりできる時間を確保する時間が必要となります。
(2)自己の生き方についての考えを深める
道徳科の目標に「自己の生き方についての考えるを深める」という記載もあります。このことについては、学習指導要領解説の中で「これからの課題を考え、自己の生き方として実現していこうとする思いや願いを深めることができるようにする」と説明されています。
以上のことから、道徳科授業の展開として一つの案が導き出されます。
①中心人物の変容を自分の経験や感じ方と照らして考える。
↓
②自らの成長を感じたり、課題を見付けたりする。
↓
③課題を実現していこうとする思いを深める。
(3)ユニット授業
さて、ここまで述べてきたことを45分(50分)の授業で全て意識することは難しいと感じられる方もおられるかもしれません。そこで注目したいのは、田沼茂紀氏の「パッケージ型ユニット授業」の考え方です。
(詳細は本ブログ https://tman-doutoku.blogspot.com/2021/09/blog-post_2.html ご覧ください)
ユニット授業では、テーマに基づいて課題を探求する道徳的学びが可能になります。連続的な指導に取り組むことで学習課題への子供達の意識は授業が進むごとに明確になり、自分ごととしての学びにつなげられるというよさがあります。
例えば、「自分について考える」という学習テーマを設定した場合、内容項目A「主として自分自身に関すること」の教材でユニットを組むことが考えられます。
学習テーマである「自分について考える」の詳細を、「自分のよさに気づくことで自己肯定感を育むとともに、「もっとよくなりたい」という思いをもつことで目標に向かって努力しようとする道徳的心情を育てる」と設定したとします。すると、自ずと内容項目(教材)も決まってきます。
第1時は『節度、節制』の教材を扱う。オリエンテーションも兼ねる。「しっかりと考える」ということについて、自分の納得解をもてるようにする。
第2時は『個性の伸長』の教材を扱う。自分のよさを知るとともに、「よさは伸びる」ということに気づかせる。
第3時は『希望と勇気、努力と強い意思』の教材を扱う。なりたい自分をイメージさせ、その自分になるために必要なものについて考えさせる。「もっとよくなりたい」という心情を育てることで、その後の学校生活につなげられるようにする。
このようなユニットそのものが、先程述べた道徳科授業の展開となっていることにお気づきでしょうか。ユニット授業などの手立てを取り入れることで、自己を見つめることのできる道徳科授業が実現しやすくなるといえるでしょう。
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