2023/06/01

違うんだよ、健司 教材分析(1)


 中学校3年生教材「違うんだよ、健司」(日文)について考えます(教材の内容等については教科書をご覧ください)。

 まず、文中の前半にこのような会話があります。

(健司)「おまえ、いつも耕平に合わせているけど、それでいいのか。」

(ぼく)「べつに。それがふつうじゃないか。」

(健司)「そうかなあ。そんなのが友達といえるか。」

(ぼく)「おまえ、堅いんだよ。お互いに適当に合わせた付き合いが最高なんだよ。」

 そう言って僕は、耕平のあとを追った。

 この会話の中に、気になる点が2つあります。

①相手に合わせることが「ふつう」だと僕が思っていること。

②「お互いに適当に合わせた付き合いが最高だ」と僕が思っていること。

 教材後半に向けてのいわゆる「布石」と呼ばれる箇所であり、場面(基本)発問として扱いたいところです。

 では、この2点について中学校3年生の生徒はどのように感じるのでしょう。ここでの発問を通して、「そうそう。無理せず合わせた付き合い方をしないといけないよね」と思うのか、「今は適当に付き合っているけど、本当はもっと親しい友達がほしいな」と思っているのか、現状の自己の生き方(友達との関わり方)を見つめさせることができそうです。

 また、この場面でさらに問い返すことで大きなテーマを引き出すこともできます。例えば、「相手に合わせることはふつうではない」という意見が出たとすると、「では、友達との関わりにおいて、大事にしたい『ふつう』とはどのようなものか」と問うことができます。このような授業前半での問い返しこそ、その授業での「学習課題」を生み出すきっかけにもなるのです。

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