心理学者のバーライン(1924-1976)は、「認知的葛藤」について主な型を6つ提案しています。
疑い | 「信じる」と「信じない」、あるいは「認める」と「否定する」との間に起こる葛藤。 |
当惑 | どちらに対しても被験者を傾かせる諸要因が存在しているときに生じる葛藤。 |
矛盾 | 特に強い種類の葛藤であり、「疑い」のうちの限られた事例を形成する葛藤。 |
認知的不調和 | 二つの特性AとBは一緒に起こることはないと信じているのに、ある対象はその両方をもっていると信じないわけにいかなくなるときに生じる葛藤。 (例)魚は水と離れては生きていけないと教育されてきたのに、乾いた土の上を歩く魚について聞かされた人がその状態。 |
混 乱 | 意味のはっきりしない情報によって作り出される葛藤。どんな選択肢があるかあげることもできないまま、何が正解であるか分からずじまいになる。 |
不適切 | 解決に近づけそうもない考えが、他をおさえて前面に出てきてしまうような場合の葛藤。 |
道徳科授業においても、子供たちが「う〜ん」と考えている場面では、上記のいずれかの「認知的葛藤」が起こっているといえます。発問を考える際に、どの「認知的葛藤」を生み出すかを授業者が意図することも、子供たちが深く考える道徳科授業につながるのではないでしょうか。
《参考引用文献》
橋本七重・小杉洋子『バーライン 思考の構造と方向』(1970,明治図書)
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