中学校3年生教材「違うんだよ、健司」の教材分析2回目です(教材の内容等については教科書をご覧ください)。本日は下記の場面について考えてみます。
この場面で気になるところは、「もうそれ以上何も聞いてはいけない」と思った僕の判断です。「隠し事をしている友達に対して無理に聞き出そうとできない」ということを中学校3年生の生徒が自分事として考えたとき、「僕(中心人物)の気持ちはよく分かる」と共感する生徒が多数いるのではないでしょうか。これは大人も同様だと思います。このような「人間の弱さ」が描かれている場面を、ぜひ子ども達に話し合わせたいものです。
では、なぜ無理に聞き出そうとしないのでしょうか。このことを問うと、
「相手が言いたくないのに無理に言わせることは、相手を傷つけるかもしれないから」「無理に聞き出そうとすると、相手を怒らせるかもしれないから」
などの意見が出てきそうです。確かにその通りかもしれません。しかし、本当に自分が悩んでいるとき、誰かにその悩みをわかってほしいはずです。困っている人の相談相手になれる自分でありたいし、相談相手として信頼できる友達がいてほしいという願いももっているでしょう。
さて、学習指導要領解説の「友情、信頼」の指導の要点(P41)に以下のような記載があります。
(以下、学習指導要領解説より抜粋)
指導に当たっては、まず、友情は互いの信頼を基盤とする人間として最も豊かな人間関係であること、互いの個性を認め、相手への尊厳と幸せを願う思いが大切であることを理解させたい。
(以上)
友情には「相手への尊厳と幸せを願う思いが大切」とあります。では、先程の「相手を傷つけるかもしれない」「相手を怒らせるかもしれない」という意見の中に、相手の幸せを願う思いがどれだけ込められているのでしょうか。この視点が、学びを深めるための重要なポイントになると考えます。
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