道徳科(書籍執筆当時は「道徳の時間」)の授業づくりについて、宮地忠雄は、以下のように述べています。
(以下、抜粋)
道徳の時間の指導では、子どもに、その自己の内面的な世界に、自ら問いかけさせることを授業成否のキーポイントにする。子どもたちは、それをふまえて、みんなでいっしょに考え、ともに語り合って、ひとりひとりが、それぞれ、めざされている道徳的価値について、主体的な自覚をより深めていく。
(以上)
「自己の内面的な世界に自ら問いかけるさせる」とは、現在の「特別の教科 道徳」の目標にある「自己を見つめる」や「生き方についての考えを深める」という学習活動に通じるものがあると考えられます。
そのうえで、宮地は「これ(自ら問いかけさせること)を可能にするものは、教師の発問にほかならない。この意味において、道徳授業における発問は、教科の、授業における発問とはちがって、特別の意味と役割をもっているものである」と述べています。道徳科授業における「発問」の重要性を、教科化された今こそさらに意識していきたいものです。
《参考引用文献》
宮地忠雄『道徳指導シリーズ8 道徳授業と発問』(1973,明治図書出版)
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