心理学者のモロゾーヴァは、学童の「興味」について多数の研究を行い、「興味」が生まれる諸条件を結論づけています。
これらの諸条件によって、読み手(子供たち)の思考に「認知的葛藤」がつくられます。また、読み手は主人公との同一視の可能性があることによって、代理性の葛藤の経験もできます。
このことから、モロゾーヴァは、「困難を克服し、葛藤を解決しようとする主人公の努力が成功することは、課題のもつ特殊な疑問に対する答えを知りたいという読み手の欲求を満足させるだけでなく、同じ話題について、一層知識を得たいという熱意をも刺激するようである」とまとめています。
この「興味」を生み出す諸条件と、その諸条件から生まれる「認知的葛藤」と「代理性の葛藤の経験」こそ、道徳科授業で大事にすべきものではないでしょうか。
《参考引用文献》
橋本七重・小杉洋子『バーライン 思考の構造と方向』(1970,明治図書)
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