2023/06/09

小学校3年生教材「学級しょうかい」(2)


 小学校3年生教材「学級しょうかい」の教材分析の2回目です。今回は教材の最後の一文に焦点を当てます。

みんな、今とんでいるかのように手にあせをにぎって、そのようすを見ていました。

 教科書に記載されている中心発問も「放送を見て、みんなはどんな気持ちになったかな。」と、この最後の一文を扱っています。

 3年2組の子供たちは、目標としていた「30回」という目標を達成しています。結果が分かっているのに、なぜ子供たちは真剣に放送を見ていたのでしょうか。しかも、挿絵を見る限り、全員が真剣に見ています。それはなぜなのか。

 例えば、「結果が分かっているのに、なぜ3年2組のみんなは手に汗を握って見ていたのでしょうか」と発問をしてはどうでしょうか。「真剣に取り組んだから」「みんなで目標を達成しようとできたから」「学級みんながすごく嬉しかったから、もう一度その嬉しさをみんなで感じたい」等の意見が出てくることが予想できます。

 これらの発言内容の根底にある「人間関係の在り方」こそ、現代の子供たちに必要とされている基本的自尊感情を育むための「共有体験」になります。教材の中の3年2組の子供たちは、「すばらしい学級」というビデオ撮影(大縄の練習)を通して、下図のような共有体験を存分に味わい、それぞれの自尊感情を大きく高めることができたのでしょう。

 学習指導要領解説の中に「みんなで協力し合ってつくっていくことができるような態度を育む」とあります。「みんなで協力し合って」という文言の意味は、一見分かっているようで、実は上手に説明のできない言葉ではないでしょうか。

 「協力」とは何なのか。「協力し合う」=「共有体験の充実」と置き換えることで「なぜ協力し合うことが大切なのか」を説明できるのではないでしょうか。

 そうであれば、本教材でも、上記のような共有体験のよさを考えさせることで、道徳的価値の理解が深まるのではないかと考えます。

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