教科調査官の飯塚秀彦氏は、「自律的な思考」について、『中学校学習指導要領解説 特別の教科 道徳編』(p.112)をもとに以下のように述べています。
(以下、引用参考文献より一部抜粋)
(中学校学習指導要領開設 特別の教科 道徳編 p.112をもとに)生徒の学習状況は、「学習活動において生徒が道徳的価値やそれらに関わる諸事象について他者の考え方や議論に触れ、自律的に思考する中で」見取ることができるという点を押さえておく必要があります。(中略)特に「自律的に試行する中で」の部分に注目し、道徳科の授業改善のポイントを考えると、話合いや議論などが生徒の自律的な試行を促すものになっているかという観点で授業を評価し、改善していくことが求められます。
道徳科において生徒が「自律的に思考する」とはどのようなことでしょうか。様々に考えられると思いますが、例えば、話合いや議論などによって、道徳的価値に関わる新たな「疑問」や「問い」が生まれてくる状況であるとも考えられます。単にグループでそれぞれの考え方を発表し合ったり、全体で発表したりするだけにとどまらず、そこから新たな「疑問」や「問い」が生まれることではじめて、深い理解へと至る話合いや議論が始まるものと考えられます。
(以上)
「自律的に思考する」とは、子ども自身が新たな「疑問」や「問い」をもつこと。「発問は教師がするもの」という前提で授業をしていると、この発想は生まれてこないでしょう。「この教材で気になったことは?」「みんなの意見を聞いて、疑問に思うことはある?」など、小さな言葉がけ一つを日々繰り返すことで、子供たちは自ら「疑問」や「問い」を見つけようとするようになるのではないでしょうか。自律的な思考が生まれる道徳科授業こそ、まさに対話的な授業であり、深い理解につながる授業であるといえます。
【参考】中学校学習指導要領開設 特別の教科 道徳編 p.112
《引用参考文献》
『令和4年度第17回兵庫県中学校道徳教育研究大会 報告資料』
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