4年生教材「つくればいいでしょ」。内容項目はA「個性の伸長」です。
長所がないと考えている中心人物のわたし。友達の長所を考えると、歌がうまい、リコーダーがクラスで一番、体育が得意などが思いつきます。教材の前半は、わたしは外から見て分かるものだけが長所だと認識しています。しかし、友達から長距離走の練習に誘われたことがきっかけで、長所は自分の努力や考え方次第で作ることができるものだと気づきます。
さて、本教材の授業を参観する機会がありました。授業後半、ふり返りの後に対話(ペアトーク)が始まりました。「教材から離れて自己を見つめる時間を確保しているのだな」と思い、目の前のペアに注目しました。
ペアトークが始まると、二人は道徳ノートに書いたことを順に伝え合いました。その後、片方の子が自分の短所を自然と語り始めました。そして、ペアの子に「◯◯ちゃんの長所は?」と尋ねました。すると、相手の子は、ほんの少し間を空けたあと、つまりながら「私の長所は・・・、みんなといっしょに勉強できること・・・。」と伝えていました。
おそらく、その子は自分の長所を友達に、自分の言葉で伝えることは初めてだったのではないでしょうか。この授業の中で自分を見つめ、言葉として発し、それを受け入れてもらえたことで、自分の生活に新たな意味をもたせることができました。自分のよさを改めて自覚できたこと、そしてそれを友達が受け入れてくれたことで、大きな自信を得ているように感じました。
そして、続けて、「私の短所は・・・、声が小さいこと・・・。」と発しました。その言葉を、ペアの子も「私といっしょだ!」と受け入れていました。聴き手として、とても素敵な姿でした。
ペアトークが終わり、先生が挙手を促すと、その子はまっすぐに手を上げ、指名されました(後で聞くと、普段はあまり発表をしない子だということでした)。発表の途中、少し声が大きくなった瞬間がありました。その声は、少し震えているように感じました。意識して強く声を出そうとしていたのだと思います。
ペアトークのなかで自分の短所(声が小さいこと)を自覚し、発表の中で自分を変えようと思ったのだと想像します。まさに、道徳科授業の目標である、自己を見つめ、自分の生き方を考えたのだと思います。
外から見ると小さな変化かもしれませんが、内から見ると大きく心を変容させていると感じられる姿に、感動しました。道徳科授業の意義を感じさせられた場面であり、このような場面に出会わせてもらえたことに今でも感謝しています。
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