5年生教材「知らない間のできごと」について考えます。内容項目は、A「友情、信頼」です。
本教材は、あゆみ(転入生)と、みかの二人の視点で描かれています。あゆみが携帯電話を持っていないことに驚いたわたしが、「今度の転校生、携帯を持ってないんだって。友達あまりいないみたい。これはすいそくだけど。」と、学級の友達にメールを送ってしまいます。しかし、そのメールが「今度の転校生は、携帯を持ってないから、仲間外れにされて、この学校に入ってきたらしい」という内容になって広まってしまいます。
さて、この教材(みかの言動)に対する子供たちの素直な感想として、「自分も悪いけれど、友達にしか送っていないのだから、勝手に内容を変えて送った友達のせいだ」という意見をもつ子はいないでしょうか。対して、「友達も悪いけれど、思い込みでメールを送った私が悪い」と発言する子も多いでしょう。
授業の中で、前者の意見もぜひ大切にしたいところです。もし、実際に教材のような事案があった場合、あゆみに連絡をするより先に、メールを送った友達に「あのメールだけど、他の誰かに送った?どんなふうに送った?」と確認しようとしてしまうのではないでしょうか。「自分は悪くない」と思いたい人間の弱さから生まれる行動だと言えます。その弱さを自覚させたいところです。
さて、この「道徳的価値のよさ」と「人間の弱さ」という両者の立場の意見が対立した時に、「あゆみ(転入生)の立場で考えると、どのような行動をしてほしいか。それはなぜか。」と尋ねてみてはどうでしょうか。高学年の「友情、信頼」では、「本当に相手のためになることは何か」を考えさせることが重要になります。転入してきて不安に思っているあゆみの心を救うために大切なことは何かを考えさせることを通して、友情を深めるために大事にしたいことについての自己の理解を深めさせます。
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