諸富祥彦(2008)は、「沈黙」について以下のように述べています。
(以下、抜粋)
心理療法やカウンセリングの基本として、面接中のクライアントの「沈黙」を大切にする意義がしばしば説かれる。面接中にクライアントが語る物語の方向性が「沈黙」の後にしばしば転換し始めることが多いのは、確かなようである。
(以上)
道徳科の授業において、子供たちの「沈黙」は教師に不安を与えます。「えっ!発問がわからなかったかな」と思ってしまい、慌てて発問を言い直す姿もよく見かけます。多かれ少なかれ、誰もが経験する授業場面ではないでしょうか。
しかし、実はその「沈黙」こそが重要だと諸富は述べています。そして、その重要性を「ダイレクト・リファー」という概念で説明しています。
『ナラティブと心理療法』(2008,金剛出版)の諸富の主張(P61~64)をもとに筆者作成
子供たちの沈黙は、もしかしたらこの「ダイレクト・リファー」の瞬間なのかもしれません。そう捉えると、発問の後の沈黙の重要性を強く感じることができます。逆にいえば、発問すぐの挙手ばかりに発言をさせていると、子供たちの中に「ダイレクト・リファー」は生まれないでしょう。「沈黙」を意識することも、道徳科授業の必須要件ではないでしょうか。
《引用参考文献》
森岡正芳『ナラティブと心理療法』(2008,金剛出版)
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