(前日から続く)
本教材の題名が「うばわれた自由」となっています。そこで、「誰の自由が奪われたのですか?」という発問が当日の模擬授業で提案されました。大変興味深い発問です。
おそらく、「正しいことをしたのに牢屋に入れられたガリューの自由が奪われた」と考える子供が多いのではないでしょうか。または、「ジェラール王、あなた様も、とうとう、自由をうばわれてしまいましたな」というガリューの言葉が描かれているので、「ジェラールの自由が奪われた」と考える子供もいるでしょう。
「それぞれの自由は、なぜ奪われたのですか?」。このような問いも投げかけてみたいものです。ガリューは、法を遵守し、法を守ろうとしたことで自由を奪われました。それでは、この教材は「正しいことを正しいと主張したら、困難が待っている」ということを伝えたいのでしょうか。または、そのような社会への怒りを引き出そうとしているのでしょうか。そのようなねらいもあるかもしれませんが、ガリューの他者への関わり方にも着目させるべきだと考えられます。
初対面のジェラール王子に高圧的に接したガリュー。自分の正しさを相手に押し付けようとしている姿を、子供たちはどのように感じるでしょう。正しいかもしれないけれど、高圧的な態度に反感を感じる子がいるかもしれません。
この姿を、山田貞二氏は「徳の騎士」という哲学の概念を使って説明しています。「徳の騎士」とは、自分の考える正しさを相手に押しつけるという態度のことをいいます(差別・偏見には、この「徳の騎士」から生まれることも多いです)。
「ガリュー=徳の騎士」と捉えると、「ガリューも、ジェラールの自由を奪おうとしていなかったか」という問いも考えられます。そのように問うことで、「自由」とはどのようなものなのか、「自由」の本質について考えを深められるでしょう。
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