「ナラティブ・アプローチ」という心理療法があります。90年代に始まった臨床実践の方法で、「問題の外在化」、「無知の姿勢」、「リフレクティング・チーム」などの実践が含まれる手法になります。
さて、森岡正芳(2008)はナラティブ・アプローチについて以下のように述べています。
(以下、著書より抜粋)
クライアントが自分の問題や症状をどのように述べていくかにまず耳を傾ける。この場面では、出来事ともう一つの出来事とのつながりという最小限のサイズでのナラティブが対象となる。その際に重要なのは、出来事の内容そのものに焦点を当てるのではなく、語りを通じて今ここで立ち現れてくる意味(its eaning now)に焦点を当てることである。語り手がその言葉を通じてどのような意味を伝えようとしているのか。どのような世界を形成しようとしているのか。そこに集中する。
(以上)
道徳科授業での子供たちの発言を想像してください。子供たちは必死に何かを伝えようとしています。しかし、語彙の不足や他者からの反応への不安から言葉足らずになってしまうことが多々あるでしょう。
教師は、子供たちの「言葉」だけを聴くのではなく、その言葉を使って何を伝えようとしているのか。その子の描いている世界はどのようなものなのか、そのことを意識深く聴こうとする必要があるといえるでしょう。
《引用参考文献》
森岡正芳『ナラティブと心理療法』(2008,金剛出版)
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