2022/03/16

うばわれた自由(3)


(前日から続く)

 ジェラール王は、牢屋でガリューに再開したことで「自由」という概念についての考えを改めます(変容場面)。ジェラールは、自由を失うことで初めて「自由」のもつよさと責任の重さに気づいたのです。人間は、失って初めてその大切さに気づくということを教えてくれている場面です。

 ジェラールの「自由」に対する概念は、どのように変容したといえるでしょう。これは、「個人の自分勝手な自由」から、「社会の中での自由」へ意識が変わったといえないでしょうか。

 ここで、自由の条件を子供たちに整理させてみたいところです。

・自分勝手は自由ではない。きまりを守ったうえでの自由が大切。

・自由とは責任を負うもの。

・ガリューのように相手に押し付けてはいけない。相手の自由を奪ってはいけない。

・自由とは、自分のなかのルールを作って、それを守ること。

・自由があるから、様々な発想が生まれる。

このような概念が子供たちから出てくるのではないでしょうか。

 さて、学習指導要領解説には、以下のように書かれています。

(以下、一部抜粋)

 自己を高めていくには何事にもとらわれない自由な考えや行動が大切である。自由には、自分で自律的に判断し、行動したことによる自己責任が伴う。自分の自由な意志によっておおらかに生きながらも、そこには内から自覚された責任感の支えによって、自ら信じることに従って、自律的に判断し、実行するという自律性が伴っていなければならない。

 指導に当たっては、自由と自分勝手との違いや、自由だからこそできることのよさを考えたりして、自由な考えや行動のもつ意味やその大切さを実感できるようにすることが大切である。また、自由に伴う自己責任の大きさについては、自分の意志で考え判断し行動しなければならない場面やその後の影響を考えることなどを通して、多面的・多角的に理解できるようにすることが重要である。

(以上)

 いかがでしょう。上記の子供たちの発言と、学習指導要領解説の記述が一致していることに気づきます。「うばわれた自由」の授業づくりには、これまで述べてきたような素材研究が必要なのだと、今回のAtoZ道徳授業学習会で学ぶことができました。

0 件のコメント: