2022/09/06

「告白もの教材」の扱い方について〜卒業文集最後の二行〜(5)


 先日の記事では、「過去の過ちを、なぜ手記として書き表したのか」という、私(中心人物)が「過去の過ちを告白をする」という、心情を問う授業展開を考えました。本日は、「過去をざんげすることの是非」に焦点を当てた授業展開について考えます。

 まず、「いじめ」は何に起因する問題なのかを明確に定める必要があります。個人の心の問題か。場面や手段の問題か。それとも、人間としても問題なのか。このことに正解はありませんが、その授業で何に焦点を当てるかを明確にするということです。先日の授業展開は、個人の心に焦点を当てたものでした。今回は、いじめは「人間としての問題」と定めて授業展開を考えてみます。 

 

【「人間としての問題」に焦点を当てた『卒業文集最後の二行」の発問(案)】


発 問

留意点


「この(教材の中の)いじめをどう思うか。」

 ・ひどい。

 ・悲しい思いをさせている。

・いじめは絶対に許されない行為であることを踏まえておく。








「過去をざんげする私(中心人物)をどう思うか。」

 ・許されない。罪の重さに耐えられていない。

 ・反省していて、立派だと思う。

【補】T子の気持ちになって考えても立派だと言えるか。

【補】なぜ、こんなに最後の二行に衝撃を受けたのか(最後の二行は、私にとってどのようなものか)。

【補】過去の経験を反省して、私(主人公)の今の人生がある。これは、許されるものか。

・「過去の出来事のおかけで今の自分がある」という考え方について、いじめられた側の思いから迫らせる。

「なぜ、人はこのようないじめができてしまうのか。」

【補】それは、どうしてか。

・「いじめは人間としてのの問題」と捉えさせ、人の弱さを理解させる。

「人がいじめを克服するために、私たち(人)は何を大切にしないといけないか。」


・「人間は弱いから仕方がない」ではなく、「その弱さを克服しようとする心が大切であると気づかせる。


「今のあなたが大切にしなければならないことは何か。」

・過去の自分をふり返り、自らの弱さを自覚させるとともに、今後の生き方やなりたい自分を考えさせる。


《引用参考文献》

日本道徳教育学会第99回大会(令和4年度春季大会)プログラム・発表要旨集

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