2022/09/04

「告白もの教材」の扱い方について〜卒業文集最後の二行〜(4)


『卒業文集最後の二行』の中心発問を、「過去のことなので、一戸氏は黙って生きていくこともできます。それなのに、なぜ、許してもらえないと知りながら、自らの行為を手記として書き表したのか」と据えてはどうかと述べました。ここから、授業展開(筆者の「告白」に焦点を当てた案)を構想してみます。


【過去を告白することに着目した『卒業文集最後の二行」の授業展開(案)】


発問

留意点




事前に読んできた感想を発表しましょう。

・T子がかわいそう。

・見た目(服装)で判断していて、ひどい。

・自分の過ちに気づいて、後悔している。

・いじめは絶対に許されない行為であることを踏まえておく。

・事前に読ませておき、感想の発表から始める。

・私がなぜこの手記を書いたのかを疑問に思っている生徒がいたら、本日の学習内容として取り上げる。

・私の偏見や不公正さ、人間としての弱さに関する意見に着目させる。








私は特別にひどい人間か。それとも、一般的な人間か。

【補】私にどんな心が足りなかったのか。

【補】T子の気持ちになって考えてみよう。

【補】弱さもあるよね。でも、許される?

・人間は弱い存在であり、正義を追求する心と不公正さを持ち合わせていることに気づかせる。

なぜ、私は許してもらえないと知りながら、自らの行為を書き伝えたのか。

【補】私の30年前の涙と、今の涙は同じか?

【補】T子も読むかもしれない。怖くはないか?

【補】知らない人に伝える必要はないのでは?

【補】でも、当時の私は、T子に謝ってないね?

・「自分が苦しい」「罪の重さに耐えられない」などの意見が出る。

・「反省していない」という意見が出たら、「自分の行為を告白することと、黙っておくことと、どちらが反省していると思うかを問う。

私(主人公)は、過去の自分に、どのように声をかけたいだろうか。

【補】過去の経験を反省して、私(主人公)の今の人生がある。これは、許されるものか。

・成長した私の視点で当時の弱さや醜さを言語化させ、人間としてのよりよい生き方を共有させる。


この勉強を通して自分が学んだことは何か。

・過去の自分をふり返り、自らの弱さを自覚させるとともに、今後の生き方やなりたい自分を考えさせる。


《引用参考文献》

日本道徳教育学会第99回大会(令和4年度春季大会)プログラム・発表要旨集



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