心理学者のケネス・ガーゲンは、社会構成主義における「対話」について、以下のように述べています。
(以下、一部抜粋)
構成主義者は、新しい現実や新しい価値観が現れてくるような対話の仕方を支持します。課題は、「唯一のベストな方法」を突き止めることではなく、お互いに「コラボレーション(連携)」して私たちの未来を創造していけるような関係性を築くことなのです。
重要な問いは、「私たちの言葉が真実か否か」ではありません。重要なのは、「そのような理解の仕方に加わることによって、私たちの人生に何が起こるのか」という問いです。私たちの前途には、たくさんの新しく輝かしい道があることを示すことが、私たちの望みなのです。
(以上)
ガーゲンのこの言葉こそ、道徳科授業の目指している方向性そのものだと私は感じました。道徳科授業の根底は社会構成主義の考え方がとても重視されていると理解しています。
道徳科授業で対話を促した際、「どちらが真実か」をめぐって意見が分かれることがあります。そこで一つの正解を求めることは不可能です。また、みんなそれぞれ正解だよと終えてしまうことも無責任に感じます。ガーゲンの言葉からは、反対側の意見をより共感をもって聴こうとできるような、両者の関係性を築くことのできる発問や手立て、日頃の学級(関係)づくりが大切だということがわかります。
《引用参考文献》
ケネス・J・ガーゲン、メアリー・ガーゲン著『現実はいつも対話から生まれる 社会構成主義入門』(2018,ディスカバリー・トゥエンティワン)
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