2022/09/25

道徳科授業の課題


 村上敏治の道徳授業の手法に対する論が、現在の「特別の教科 道徳」をよりよいものにするためのヒントになります。

(以下、著書より一部抜粋)

道徳の授業の手法がわからないという教師の声が起きると、論者はこれに応じようとして一定の本質論や方法論が出される。ところが一義的に一手法に押しこめることはできないから、次々とさまざまな議論が現れて、議論の筋道が理解されないままにわけのわからない用語だけが独り歩きして、それらが雑然と盛り込まれて恣意的に用いられていよいよわからなくなる。いろいろの用語がそれぞれの議論の本質を離れて氾濫して、それらの用語を使わなければ道徳の授業が成立しないかのような受け取り方がなされている限り、道徳授業はわけのわからないもになるだけでなく、広く一般の教師が道徳授業を実際に行ってみようという意欲がいよいよ遠のいていく

(以上)

 現在の道徳科授業の課題が明確に示されています。この書籍は40年ほど前のものですが、当時からその課題が解消されないまま今に至っていることがわかります。実際、「多面的・多角的」や「深い学び」など、道徳科授業に関わる様々な用語が独り歩きしている結果、多くの教師が道徳科授業に対して苦手意識を抱いているように感じます。


《引用参考文献》

村上敏治編著「道徳授業技術双書4 小学校道徳 内容の研究と展開」(1983,明治図書出版)

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