村上敏治は、道徳授業の課題について、以下のように述べています。
(以下、著書より一部抜粋)
道徳とは何かについての基本的理解がおきざりにされて道徳授業の技法ばかりが過剰になり、教師にとっても児童生徒にとっても、必然的教育課題になることなくそらぞらしいものになりがちである。だれでもが教育について考え語り得るし、だれでもが道徳について考え語り得る。それだけに各教師が自らの生き方の根源に問いかけることなく恣意的に皮相な見解に止まりがちであり、道徳についてのまちまちな誤解や曲解や偏見にとらわれている傾向がなお多い。
(以上)
私たちが道徳科授業をつくる際、すぐに発問や展開などの授業構成を考えがちです。事後検討会でも、「この発問はよかったか」「児童生徒の反応はどうだったか」に終始しています。しかし、その前提である「道徳とは何か」、いわゆる内容項目そのものに
ついての議論はあまりなされません。
「生命の尊さ」を扱う授業をするとした時、そもそも「生命の尊厳」とはどのようなことをいうのか、明確に説明ができるでしょうか。そして、その説明は皆が同じものでしょうか。「命は大切だ」というような曖昧な表現を用いて、その本質を考えることから逃れようとしていないでしょうか。
教師こそ、まずは「自らの生き方の根源に問いかける」ことが重要なのです。
《引用参考文献》
村上敏治編著「道徳授業技術双書4 小学校道徳 内容の研究と展開」(1983,明治図書出版)
0 件のコメント:
コメントを投稿