個人が抱える困難さに焦点を当てる「プロブレム・トーク」に取って代わるものとして、社会構成主義の考え方を取り入れた問いの一例に「ミラクル・クエスチョン」と呼ばれる質問があるようです。例えば、「明日の朝目覚めたときに問題が解決していたら、どんな一日になりますか」と質問します。「ひどい過去」ではなく、前向きな未来に意識を向けることが、変化を起こす、より前向きなステップの第一段階となるからです。
この「ミラクル・クエスチョン」は、道徳科授業でも有効だと考えられます。例えば、いじめ問題を扱う授業では、被害者の思いを想像したり、いじめを止められない人間の弱さを理解したりします。しかし、「弱さ」をいくら理解しても、その「弱さ」を「強さ」に変えることは困難です。その際、ミラクル・クエスチョンを参考にして、「もし、それを止められる強さや関係性があるとすれば?」と尋ねることで、子供たちは明るい未来を想像したり、自分が本当にやりたい言動を考えたりすることができます。その瞬間、子供たちの心に「小さな変化」が起こるのではないでしょうか。
《引用参考文献》
ケネス・J・ガーゲン、メアリー・ガーゲン著『現実はいつも対話から生まれる 社会構成主義入門』(2018,ディスカバリー・トゥエンティワン)
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