明示図書出版『道徳教育』(2022年5月号)に、教材「心と心のあく手」の作成者の方の原稿が掲載されていました。本教材は、児童の作文から構想を得て作成されたとのことで、その児童の「心配でたまらなかった。おばあさんが転んでも助けられるように忍者のように後ろを歩いた」(本文より抜粋)という心情を大事にしながら、安易に教材を批判をすることなく授業をしないといけないと強く感じました。
さて、本教材の活用について、木下教諭は以下のように述べています。
(以下、原稿をもとに筆者作成)
(1)明確なねらいを定める
声をかけた場面と見守った場面の二つの親切は、どちらも価値ある行為である。だからこそ、どんな親切に気づかせたいのか、明確なねらいを定めて授業を構想する必要がある。
(2)授業の方向性を定める
道徳的な価値理解を深める授業なら「本当の親切について考えよう」という方向性が考えられる。また、親切にはさまざまな形があるという、親切に対する見方・考え方を広げる授業なら「さまざまな親切について考えよう」という方向性が考えられる。
(3)見守る行為のよさを問うのではない
2回目におばあさんと出会った主人公は「見守る」を選んだ。ここで大事にしたいのは「見守る」行為のよさを教えるのではないということ。「見守る」という行為を入り口として、そう判断した主人公の心を掘り下げたい。
(4)何が同じで、何が違うのか
最初に声をかけた主人公と最後に見守った主人公を比較する。「何が同じで、何が違うのか」。これが深い学びにつながる問いとなり、道徳的価値を理解する道筋となる。
《引用参考文献》
『道徳教育 2022年5月号』(2022,明示図書)
0 件のコメント:
コメントを投稿