2022/05/04

人権ポスターを描く


 多くの自治体で「人権ポスター」のコンクールが実施されています。しかし、啓発活動への活用を考慮する必要があるので、提出締切が4月〜5月頃になってしまいます。「年度当初の慌ただしい時期に人権ポスターを描かせる余裕がない・・・」という方もいることでしょう。本日は、この「人権ポスター」の意義を述べてみます。

 まず、何のために取り組むのか。その目的は、人権ポスターを描くことを通して児童生徒の人権感覚を養うことです。それゆえ、「描きなさい!」「このように描けばいいですよ」と指示をするだけではその目的は達成できません。図工科の技法を学ばせるだけでもいけないのです。

 それでは、人権ポスターを描かせるために大事なことは何なのか。それは、先日からお伝えしているカリキュラム・デザインです。例えば、道徳科の授業でいじめを許さない心(公正、公平、社会正義)を育てる。これは人権教育の態度的側面になります。そのうえで、特別活動で「いじめをなくすために自分たちは何ができるか」を考えさせます。その話し合いの中で「ポスターを描いて学校内に掲示する」という案が出てきたとします。ここに「人権ポスター」を描く意義が生まれるのです。これは一例ではありますが、道徳科授業で「いじめを許さない心」が育っているからこそ、主体的にポスター作成に取り組めるということになります。

 「いや、4月にゆっくりと取り組む時間はない」という反論が聞こえてきます。例えば学年によっては「2学期(3学期)に取り組み、翌年度のコンクールに提出する」という計画も考えられます。そうすれば、じっくりと取り組むことができる上に、新年度の慌ただしさも解消できます。まさにwin-winの年間計画ではないでしょうか。

 他にも、国語科の授業で、いわゆる戦争教材や、愛や友情を扱った教材を学習したとします。その事後活動と関連させて図工科でポスターを描くということも考えられます。図工科での学習内容をきちんと指導することで国語科と図工科をつなげることもできます。

 このように、人権ポスターを描く意義をしっかりと理解した上で、どうすれば効果的に取り組めるのか、教科・領域とどのようにつなげていくのか。その視点を大事にしてはどうでしょうか。

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