先日は、以下(図1)のような展開でぴょんたの視点を与えることを述べました。
(図1 ぴょんたの視点をもたせるための学習展開案 筆者作成)
別の方法として、範読の後に感想を伝え合うということもできます。範読を聞くと子供たちはそれぞれの視点で感想を抱きます。頭の中にモヤモヤを感じたり疑問を持ったりします。自分の経験を思い出している子もいるでしょう。その範読の後の「もやもや」こそ、違和感こそ、その子が現在もっている道徳性なのです。今自分がもっている道徳性を自覚させ、他者の感じ方との違いを知り、ずれに気づく。感想を伝えることにはこのようなねらいもあります。
さて、「お話を聞いた感想をお隣に伝えてごらん」、範読の後にお隣とペアトークをさせてはどうでしょうか。おそらく、それぞれの思いを伝え合うでしょう。ここで、小さな工夫ですが、「では、感想を発表してください」と呼びかけた際に、挙手が少ないことがあります。そのような時は、「お隣と感想が似ていたい人?」「お隣と感想が違っていた人?」のように呼びかけてみることも効果的です。
子供たちからは、「ぽんきちがかわいそう」「ぴょんたのしたことはいけないことだと思う」「自分から走っていったわんたはえらい」など、様々な視点の感想が出てくるでしょう。それらの感想を出させたあとに、例えば「なにか不思議に思うことはあった?」「一番考えてみたいことは何かな?」と尋ねると、本時の学習テーマを設定することにつながります。「なぜ、ぴょんたのしたことはいけないと言えるの?今日はこのことについて考えてみようか」と、教師から提案をしてもいいでしょう。
また、ここでの感想を授業後半で活用することもできます。わんたの姿を見て、自分から走っていったぴょんた。例えば、「わんたと同じように、ぴょんたも気づいたんだね。ぴょんたも、わんたと同じようにえらいね」と、悪者を作らずに授業を終えることができます。「ぴょんたはいけないことをした」という感想を後半で活用すると、「下を向いているときに、◯◯さんが言ってくれたように、ぴょんたはいけないことをしたことに気づいて、悩んでいたのかな。」と、子供の言葉を使って発問をつくることができます。
このように、「感想を尋ねてみる」という学習活動を入れてみるだけで、授業の幅が大きく広がるのではないでしょうか。
(図2 児童生徒の感想をもとに視点をもたせるための学習展開案 筆者作成)
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