2021/12/13

T・T(ティーム・ティーチング)


 道徳科授業におけるT・T(ティーム・ティーチング)のよさについて考えます。

まず、発問者と板書者に役割を分けられるというよさが想定できます。また、教材分析を教師二人でできるということもすぐに思いつきます。様々なよさが思いつきますが、ここでは「教師の視点」と「児童生徒の視点」に分けて考えてみようと思います。

【教師の視点】

 T・Tの授業を実践することで、「教師の授業力を共有(向上)できる」ということが挙げられます。これは教材分析の視点という面もありますが、授業技術の共有・伝達という面も考えられます。

 例えば、授業の中で児童生徒への声かけのタイミングは教師によって異なります。「えっ!?このタイミングで問い返すの?」「うわっ。この発言にどう答えよう。なるほど、そのように広げるのか」など、T・Tは他の教師の発問の仕方やタイミングを実感できるきっかけとなります。自分の感覚と異なる点について授業後に検討することで、ペアの先生の授業観やねらいを学ぶことができるでしょう。

 現在、どの学校も大変忙しい毎日です。校内研修でゆっくりと授業について語り合う時間を確保することが難しいかもしれません。T・Tは、まさにこの課題を解決するための一つの方法となるでしょう。なお、営業職などでもこのような伝達方法がとられることが多いということも知っておいてください。

【児童生徒の視点】

 授業の主体者は「子ども」です。もちろん、教師の授業力が向上することは間接的に児童生徒の学びにつながるものです。では、他にも子ども達にとってT・Tをするよさはあるでしょうか。

 道徳科授業におけるT・Tの目的は、「学びを深める」ことです。「T・T」と「学びを深める」という二者をつなぐものとして、「同じ瞬間に異なる見方を入れられる」ことが考えられるでしょう。

 児童生徒の発言に対して、授業者の感想は異なります。例えば、一人の教師は「なるほど」と思っても、もう一人の教師は「まだ思考が浅いかな」と感じるかもしれません。その感覚の違いを活用して、問い返しをしていくことができるということです。

 また、教師同士の対話を児童生徒に見せるということもできます。これは、前述のオープンダイアローグ(詳細は以前の記事をお読みください)の考え方につながるものですが、教師同士の本気の対話を観ることで、児童生徒は自分自身の考え方を深く見つめることができます。二者の異なる価値観をもとに協働的に理解を深めようとする姿を見せることで、自己を見つめ、自己の生き方を考えるきっかけをつくるということです。

 役割演技の際にもT・Tのよさを存分に活用できます。それは、大人役の演技を教師ができるということです。例えば母親役や教師役の心情を子供たちは想像しづらいときがあります。その役を教師がすることで、演技を通してより深い価値理解につなげることができるでしょう。その際、T・Tの場合はもう一人の教師が監督役として、観ている児童生徒に対応することができます。そうすることが演技後の対話をよりよいものにしてくれるでしょう。

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