2021/12/23

弁証法と道徳科授業


 「問い返す」という用語が道徳科授業でよく使われています。そこで、「問い返す」とは、どのような概念になるのかについて考えてみました。

 このことに関して、髙宮氏の著書を読むと、哲学における「弁証法」が「問い返す」ということを考えるヒントになるのではないかという結論に至りました。

髙宮正貴『価値観を広げる道徳授業づくり 教材の価値分析で発問力を高める』を参考に筆者作成


 道徳科授業における「問い返し」は、児童生徒の発言を一度否定したり疑問を呈したりすることで反論を考えさせ、新たな価値理解に導きます。この「否定を通じて新しい肯定を見出す」ということが、まさにヘーゲルの弁証法と通じるものがあるということです。

 髙宮氏は、著書のなかで「否定を通過することによって、最初の平板な理解をゆさぶり、新しい理解を獲得することができる」ということを授業例をもとに論じています。

 このように、「問い返す」という発問を考える際には、弁証法的な思考過程を生み出すことができるかを考慮することが大事になるのではないでしょうか。


《引用参考文献》

髙宮正貴『価値観を広げる道徳授業づくり 教材の価値分析で発問力を高める』(北大路書房,2020)

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