(前記事の授業記録の続き)
『では、〇〇さん。先ほど生きる感情を持っていると言ってくれました。ヘレン・ケラー役をやってくれますか』
(ヘレン役の演者前へ)
『ヘレン・ケラーです。今から、目を開けてはいけません。話をしてもいけません。この時のヘレンになってください。まだ、手づかみでご飯を食べている。アニーの熱意ややさしさに気づいていない。厳しくされている。この後、ウォーターと気づく場面がありますが、その前のヘレンになってください』
『●●さん。アニー・サリバン役をお願いしてもいいですか。喜びや希望をヘレンに伝えたいというアニーです』
(アニー役の演者前へ)
『今から、普段の文字を教える時間です。ヘレンはまだ文字を知らないので、何をしているのかわからない状態です。あなた(ヘレン役)はそれを想像してください。それに対してアニー役のあなたは喜びや希望を伝えたい。やさしくて厳しいアニー・サリバンです』
『では、今から演じてもらいます。皆さんには、二人の様子とか、アニー・サリバンの反応や、どのように声をかけているかを見てもらいます。ヘレンは、今から喋らないでください。不安でなければ、目を閉じておいてください。何を感じるのでしょう」
【演技、開始】
アニー「じゃあ、これを見てください。」
(ヘレンの手の平に文字を書いているが、ヘレンは反応せず。)
(ヘレンの片手を持ち、指で手の平に書いてあげる)
アニー「次はこれ(チョーク)を手に持ってください」
(手の平にチョークと書いている)
アニー「では、これを書いてみましょう」
(ヘレンの片手を持ち、手の平にチョークと書かせる)。
アニー「これは定規と言います」
(同じように繰り返していく)
『ここまでにします。まず見ていた人に聞きます。ヘレン・ケラーを見ていてどう思いましたか』
「ヘレンは、ただ寝ているだけのようで、勉強しているようには見えませんでした」
「字というものを知らないので、勉強というより、ただ手を動かす運動に見えました」
「文字を教えても、文字とはわからず、ただ真似をしているだけかと思いました」
『ありがとう。◯◯さん、どのような感じでした?』
「ヘレン・ケラーは目も耳も口も不自由で何もすることができなくて、そのように考えてみたら、●●さんがしゃべっている言葉は、普通には聞こえなくて、ただものを持って手を動かされるだけのように感じました」
『アニー・サリバン(●●さん)を見ていて、どうでしたか?』
「がんばって教えようとしていました。」
「がんばって教えようという気持ちは伝わってきたけど、それが届かなくて、悲し・・・くはないけど、伝わらないと分かっていても何回も教えていて、いいなぁと思いました」
「すぐに伝わることではないけれど、それでも何回もやって、字をヘレン・ケラーに教えたいということが伝わりました」
『●●さん、実際にやってみてどうでした?』
●●「話しかけても聞こえてないし、私がヘレンに「これが〜だよ」と教えていても、ヘレンには聞こえていないので、本当に分かってくれているかが分からず、ちょっと不安もありました。」
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