筑波大学附属小学校の加藤宣行氏(2022)は、子どもたちが「う〜ん、ちょっと待って」と考えこむような「問い」を作るポイントとして、「わかりきっている(と思っている)こと」をひっくり返すとよいと述べています。前提を覆すということです。
「友達と協力してがんばる」ということの大切さを子どもたちは知っています。または、そういうものだと思い込んでいます。その思い込みををひっくり返す発問例として、「自分の主張や気持ちを抑えて相手に合わせるということですか」という問いを加藤は提示しています。子どもたちは「いや、そういうことではない」と言い出し、自分の感覚(価値観)に向き合い始めるということを述べています。
さて、加藤の「前提を覆す」という問いづくりのポイントは、大変有効であると実感しています。例えば、6年生教材「ブランコ乗りとピエロ」の授業で、「ピエロはサムを許したのですね。我慢したということだね」と問いかけたところ、子どもたちの中にザワザワとしたつぶやきが生まれ、「違うと思う」「あ〜、難しい!」という声が聞こえてきました。「考えたい」「伝えたい」が生まれた瞬間でした。
子どもたちが考え込むような問いを作るということを、授業者として大事にしたいものです。
《引用参考文献》
『道徳教育2022年8月号』(2022,明治図書)
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